”片親引き離し症候群”という言葉、聞いたことあるでしょうか?
虐待と聞くと、暴力を振るうとか自ら手をあげて子どもを傷つけることを想像してしまいがちですが、決してそれだけではありません。
身体に傷ができないので気づかれにくいですが、言葉によって子どもを支配したり傷つけることも、立派な暴力であり、虐待です。
もしかしたら自分自身も知らず知らずのうちにやってしまっているかもしれない、「片親引き離し症候群」について説明したいと思います。
「片親引き離し症候群」とは?
”片親引き離し症候群”ってなに?という疑問にお答えしたいと思います。
1980年代初めにリチャード・A・ガードナーによって提唱された用語で、両親の離婚や別居などの原因により、子供を監護している方の親(監護親)が、もう一方の親(非監護親)に対する誹謗や中傷、悪口などマイナスなイメージを子供に吹き込むことでマインドコントロールや洗脳を行い、子供を他方の親から引き離すようし向け、結果として正当な理由もなく片親に会えなくさせている状況を指す。「洗脳虐待」と訳されることもある。また子供を引き取った親に新しい交際相手ができた場合に、子供に対してその交際相手を「お父さんorお母さん」と呼ぶようにしつけ、実父・実母の存在を子供の記憶から消し去ろうとするのもこれに当たるといわれる。
PASは、医学界や法学界では「疾患」であるとは認定されておらず、ガードナーの理論や関連研究は、法学者や精神科医から広く批判されている[1][2][3][4]。
片親引き離し症候群は、2010年に発表されたアメリカ精神科医師会による『精神障害の診断と統計マニュアル』第5版(DSM-5)の草案には記載されていないが、ワーキング・グループによる「他の情報源が提案する疾患」には記載されている[5]。それによれば、片親引き離し症候群とは「同居親の行動によって非同居親と子供との関係が不当に破壊される状態」である。
離婚や別居により、離れた親に理由なく会わせないように仕向けることを”片親引き離し症候群”といいます。
近年面会交流がうまくいかなくて苦しんでいる別居親が増え続けています。
その裏では、一緒に暮らしている親が子どもに別居親と会わせないように仕向けていることもあるかもしれません。
片親引き離し症候群は、子どもを幸せにすることはありません。
もちろんケースバイケースではありますが、とくに親子間に問題はないのに、別居親に故意に会わせないのは立派な虐待と判断される時代が、もうそこまで来ているのです。
「片親引き離し症候群」による子どもへの影響
子どもは、親に会わせてもらえない原因を、自分に向けてしまうことがあります。
それはとてもこわいことであり、子どもの負担は計り知れません。
監護親がどんな理由で会わせないにしろ、子どもは離れて会うことができない親に「捨てられた」という感情が必然的に生まれてしまう可能性があります。
想像してみてください。
まだまだ自分1人では生きていけない子どもが、誰かに捨てられたという思いを抱えながら生きていくことを。とても悲しいことです。
それが今まで一緒に暮らしてきた父親(母親)であれば、なおさらです。
自分のことと子どものことはべつのこと。
離婚は人生の中でもとても大きなテーマであり、それに加えて子どもが加われば、もっと重要なことになります。
親権をどうするか、養育費はいくらもらうのか、面会交流はどれくらいの頻度で行うのかなど、子どものことについて決めなければいけないことは、たくさんあります。
自分たちのことと子どものことを混同して考えてしまいがちですが、根本的に全然違う問題だということにまず気づくことが大切です。
子どもは、自分の所有物ではありません。彼らにも人権があることを忘れないでください。
あたりまえのことを言っていると思われるかもしれませんが、夫婦間でもめていると現実はそう簡単にはいきません。
憎みあっている夫婦間で起こる問題であるため、子どものためと思いよかれと思っていることでも、どちらかの親がそれを理解できなければ、分かり合うのは難しいです。
確執が大きければ大きいほど、歩み寄りができませんし、話し合いをすることすら難しくなります。
そのときは2人だけで無理に決めようとせず、第三者を間に入れて話し合うことも選択肢の一つだと思います。
こんなブログを見つけたけど…
これは最低ですね。びっくりしました。
片親引き離し症候群の典型的な例でしょう。
こういった最悪のケースばかりではないので、あくまで一例として見てもらいたいのですが、現実にこのようなケースは存在します。
片親引き離し症候群の解決方法
片親引き離し症候群を起こさないためには、離婚したあとであっても、子どもと別居親との交流を続けていくこと以外の方法はありません。
その交流すら実現できずに苦しんでいる別居親は、たくさんいらっしゃると思います。
あきらめずに立ち向かっていくしかありません。
しかし、むやみに監護親を責めるのは得策ではないです。
私の話になってしまいますが、私は元夫にモラハラとDVを受けて離婚に至りました。
元夫と面会交流でもめたことも何度もあります。
決して面会交流を否定的に考えているわけではありませんでしたが、元夫を心底信じられなくなり、面会交流を拒否していた時期がありました。
子どもに元夫の悪い印象を与えるような言葉をかけたことは一度もありません。
それでも、大切な自分の子どもを元夫のような人に会わせて本当に大丈夫なのだろうかと、面会交流に踏み切れない時期があったのです。
監護親も葛藤している可能性は十分にあります。
むやみに監護親を責め立てても、解決には至らないのです。
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自分たちだけで解決しようとしない!
時間がたてばたつほど、話し合いはできなくなり、解決の糸口が見えなくなってきます。
自分たちだけで解決しようとせず、面会交流を支援してくれている団体などがあれば積極的に利用するのもひとつの方法だと思います。
面会交流について調停を開くのもいいですが、調停でもお互いの悪口大会にならないよう気をつけましょう。
第三者を入れて話し合うというのは遠回りではありますが、否定的に考えないでください。
話し合いに親族などは絶対入れないようにしましょう。余計なもめごとが増える原因になりかねません。
まとめ
”片親引き離し症候群”は、何気ない生活の中で無意識のうちにやってしまっているかもしれません。
片方の親のことを子どもの前で悪口を言ったり、否定的な言いかたをして会わせないようにするのは、子どもはもちろん自分にとっても良くありません。
”片親引き離し症候群”は誰も幸せにはならないのです。
ただ、別居親が子どもに虐待をしているケースなどはまたべつの話になるので、証拠集めを徹底的にするなど、子どもを守ることに専念しましょう。