離婚前に別居を始める夫婦はとても多いですが、別居をする前に知っておいたほうがいいことがあります。
離婚を考えたとき、まずは距離を置いてゆっくり考えたいと思いますよね。
一緒にいると苦痛ですし、とりあえず別居することを考えるでしょう。
しかしやみ雲に別居してしまうと、状況によっては不利になってしまうことも…。
別居する前に事前準備は絶対に必要ですが、とにかく衝動的な別居だけは避けるべきです。
別居するときに気をつけること
別居はDVなど緊急性がない限り、衝動的にならないよう気をつけるべきです。
勝手に家を出て行ってしまうと同居義務違反となり、離婚原因でもある悪意の遺棄に該当してしまうことがあります。
離婚原因を作った有責配偶者になってしまうと、離婚裁判になったときに不利になってしまうのです。
なるべくお互いに納得したうえで別居するのが望ましいです。
悪意の遺棄とは?
民法では、夫婦は同居し、お互いに協力、扶助し合わなければならないと定められています。
理由なく勝手に家を出て行くことは、法的にはダメなことなんです。
次の例は、悪意の遺棄に該当します。
生活費を妻に渡さない
理由もないのに同居を拒否する
家出を繰り返す
理由もなく自宅とは別にアパートを借りて暮らしている
無理矢理家を追い出した
健康な夫が働かない
上記の例のようなことをしてしまうと、悪意の遺棄で有責配偶者になってしまうのです。
もし相手側に別居の原因があったとしても、これらを理由に慰謝料を請求されてしまうこともあります。
悪意の遺棄にならない場合とは?
理由があっての別居であれば、相手側の同意がなくても、悪意の遺棄として離婚原因とされることはありません。
仕事上の出張、転勤による単身赴任による別居
冷却期間をおくためのお互い同意のうえの別居
子供の教育上仕方のない別居
病気の治療のための別居
暴力や酒乱など身の危険があるため仕方のない別居
不貞が原因の別居
これらの理由であれば、悪意の遺棄とはなりません。
しかしこれを証明できる客観的な証拠は必要です。
相手に否定されてしまえばそれまでですから、証明できるよう証拠収集は念入りにしておきたほうが安心です。
別居前の事前準備に必要な4つのポイント
離婚を前提にしているのであれば、事前準備をしっかりしたうえで別居をしましょう。
夫婦といえども相手は他人です。別居後には、想定していなかったことが起こることもあります。
あとで後悔しないよう、事前準備のポイントを押さえておいてください。
同居義務違反とならないように気をつける
別居の目的、理由、別居先の住所を相手側に知らせ、あとになって別居に合意などしていないと否定されないよう、合意書の作成するなど対策をとっておきましょう。
別居の原因となる証拠を用意しておく
不貞や暴力、どれも証明できるものを用意しておいたほうが安心です。
これから離婚となっても、証拠の有無があるのとないのとでは状況が変わってきます。
客観的に見て、事実とわかるものを用意しておきましょう。
財産の有無を調べておく
離婚の話し合いになったとき、財産分与の分担の話になることもあります。
結婚生活が長ければ長いほど、財産分与の額は大きくなります。
相手側に勝手なことをされないためにも、通帳のコピーなどをしっかり残しておきましょう。
離婚届の不受理届を出しておく
相手側が離婚届を偽造して、勝手に提出するといった例もあります。
そうなったときは無効を主張すればいいだけの話なのですが、それには法的な事実が必要になってきますし、時間も費用もかかります。
最悪のときはそのまま離婚届が受理されてしまうこともあるのです。
念には念を…心配なかたは離婚届けの不受理届も忘れずに。
以上が別居前の事前準備として、大切なポイントとなります。
私は大丈夫!そんなことにはならない!と思っているかた多いと思いますが、信頼関係をなくした夫婦なんて壊れていくだけです。
相手を信じすぎてはいけません。なにかあったときのためにも、事前準備は必要最低限、用意しておきましょう💡
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DVの場合は緊急ですから、例外です!
夫からDVを受けた場合は、理由など考えずに逃げてください。
DVの場合の別居は、事前の話し合いなどなくても悪意の遺棄にはなりませんから心配いりません。
しかしDVを受けた証拠は大切なので、怪我をした場合は病院へ行って診断書をもらう、そのとき起こった事柄を詳しく書いて日記として残しておく、怪我の写真を撮っておくなど、できる範囲で証拠を残しておきましょう。
まとめ
勝手な別居は悪意の遺棄になってしまい、有責配偶者になってしまうというのはちょっとこわいですよね。
理由もなく別居に至ることはまずないと思いますが、性格の不一致などで勝手に出て行ったりするのは、ちょっと危険かもしれません。
なるべく自分の不利にならないよう、気をつけて行動しましょう。