離婚をする理由はみなさん必ずあると思いますが、裁判所が認める離婚理由は決まっています。
離婚で争われる理由の中でも最も多いと言われているのが、婚姻を継続し難い重大な事由というものです。
協議や調停だけで離婚ができるなら、離婚理由なんてなんでもいいんです。
お互いが納得すればそれで離婚できますから、法律で決められている離婚理由なんて必要ありません。
しかし、裁判になると必ず離婚理由は必要になります。
離婚するのに理由って必要?
離婚理由は必ずしも必要なわけではありませんが、裁判になってどちらが有責配偶者なのかを裁く場合は必ず必要になります。
とくに慰謝料が絡んでくる場合は、離婚理由はとても重要です。
そして離婚に理由があればなんでもいいわけではなく、民法で決まっている理由の中にあてはまらなければ、裁判でも離婚することができないのです。
裁判はお金も時間もかかるものですから、しっかりした理由を提示して確実に勝てる方法を選ばなければ、お金も時間も無駄になってしまいます。
婚姻を継続し難い重大な事由とは?
「婚姻を継続し難い重大な事由」というのはいくつかの項目があって、この中にあてはまる離婚理由が必要です。
①性格の不一致
離婚の理由の中で、一番あてはまる夫婦が多い理由です。芸能人でも、性格の不一致を理由に離婚する夫婦が多いです。
便利な言葉としてよく使われていますが、この言葉の背後には複雑な夫婦の不和が隠れていることが多く、夫婦のどちらかを原因にするのは非常に難しいです。
そのため、性格の不一致を離婚理由として裁判で争うのはとても難しいのです。
民法の考えかたとしては、夫婦はもとは他人であり、多少の性格のずれが生じてもそれは仕方がないと考えられています。
「価値観が合わない」だけで離婚を判断するのは、安易だということです。
決して性格の不一致を理由に裁判で争えないわけではありませんが、夫婦が破綻したという明確な証明が必要になってきます。
②暴力・虐待・侮辱
暴力と言ってもいろいろあるので、ひとつずつ説明します。
身体的暴力
身体的暴力は、配偶者に手をあげること。
例え一度きりの暴力だったとしても、怪我の度合いがひどかったり、動機によっては離婚理由として認められる場合もあります。
精神的暴力
精神的暴力は、モラハラがあてはまります。
モラハラに限ったことではありませんが、夫婦の不和は密室で形成されるものなので、証明するのが大変難しく、証拠がなければ離婚理由として認められることはできません。
性的暴力
性的暴力は、夫婦とはいえ無理矢理性行為を強要したり、避妊をしない、おかしな性癖がある(変態ってことね)などがあれば離婚できるということです。
しかし、これも密室で行われていることですので証明が難しく、この理由単体で離婚することは難しいでしょう。
経済的暴力
経済的暴力は、生活費を渡さないなどお金による支配を行う暴力のことです。
社会的暴力
社会的暴力は、家から出さない、配偶者の親族や友人への連絡を絶たせたりすることを言います。
5つの暴力の種類を説明しましたが、暴力を行う人はこのすべてのことをやっていることが多いです。
どれかひとつだけというのは、ないです。
先ほども説明しましたが、夫婦の不和は密室で行われていることなので、客観的に判断してもらうのがとても難しいです。
暴力を理由に離婚したいときは、暴力を受けた証拠を残すことを忘れないでください。
密室で暴力をしてきた相手は、今までやってきた暴力を認めない人がほとんどです。
毎日日記をつける、録音する、診断書をもらうなど、それなりの計画を持って挑んでください。
③親族との不仲
親族の不仲で多いのは、嫁姑問題や嫁舅問題が多くあげられます。
ただし、姑や舅の言動が気に入らないとか、同居するのが嫌だからという単純な理由では離婚することは難しいです。
自分と親族との不仲に、夫(妻)が不仲を解消できるようどのように関わってきたのかが焦点になります。
親族との不仲の解消のために、相手はどのように対応してくれたのか、してくれなかったのか。
不仲であるのを知っていて危機感を持っていたにも関わらず、なにも手助けをしようとしてくれなかったことが原因で、夫婦関係の破綻に至ったという理由が必要です。
④宗教活動にのめり込む
宗教活動は、日本では個人の自由として認められています。わけのわからない宗教に参加しているだけということでは、離婚の理由にすることはできません。
宗教活動にのめり込みすぎてしまい、家族が犠牲なって通常の生活ができなくなってしまった場合などは、離婚理由として認められるでしょう。
⑤ギャンブル・浪費癖・多額の借金
ギャンブル、浪費、借金が理由で、夫婦関係が破綻してしまった場合に認められます。
借金が多額で、生活ができないほど困難が生じていれば、立派な離婚理由になります。
借金をしていることがわかる明細書や催促状・督促状などがあれば証拠として認められるので、捨てないでおきましょう。
⑥犯罪による服役
犯罪による服役で、家族の生活に支障がでたり、生活ができなくなってしまった場合には、離婚理由として認められます。
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必ず証明できるようにしておくこと!
他の記事でも上記でも本当にしつこいほど言っているのですが、とにかく離婚理由を証明できる状態にしておくことがすごく大切です。
[st-kaiwa-693]私も離婚裁判をしましたが、暴力が原因だったので、暴力を受けたときなど日常の詳細な日記、暴力を受けたことによるできた傷の写真、破れた衣服などの証拠をしっかり残しておきました。
言葉だけで説明することもとても大切ですし、決して証拠がなければ離婚裁判をできないわけではありません。
ただ、証拠品があればそれだけ信憑性も増しますし、暴力をする夫は絶対に自分のしたことを認めません。
その心証を崩すためにも、証拠はとても重要になるのです。
今離婚を考えている人は、できることからぜひ取り組んでみてください![/st-kaiwa-693]
まとめ
離婚裁判をする夫婦は、実はあまりいません。協議で離婚する夫婦が多く、裁判にまで争いが及んでしまうことはとてもまれなのです。
それでも、協議でも調停でも離婚できなければ、最終的には裁判に持っていくしか方法はないのです。
そうなったとき、無駄な時間にならないよう計画的に進めることが、裁判を上手に終わらせていく鍵となります。